3374、なし
武蔵野尓 宇良敝可多也伎 麻左弖尓毛 乃良奴伎美我名 宇良尓R尓家里
従来訓
3374武蔵野に占部肩焼きまさでにも告らぬ君が名占に出にけり
真の歌意
お城が群れをなしている大平野です。占い師がお城を廻り、鹿の肩焼きで味方を募っています。「ほら!あなた様も一味ですよ!占いにはっきり出ています。」。お城の主は戦いなんぞ大嫌い。でも占い師は平気です。占いにかこつけて武蔵野を行きます。味方を集めているのです。
東歌には二本の大きな柱がある。第一は天武・持統の国盗り、すなわち壬申の乱に先立つ東国勢力の糾合だ。もう一つは孝謙(称徳)・道鏡の国造り歌である。都での政争に敗れた孝謙は、河内の由義宮から脱出して、海路東国に向かい、道鏡は陸路で後を追った。下野こと栃木県に残る孝謙・道鏡の伝承の多さには驚く。武蔵野は「ムッジャッシノ=多くの鉄城が群れなす野」という言葉。武蔵野は鉄と馬と銅に恵まれた地で、孝謙と道鏡は武蔵野を手に入れる必要があったのである。