3098、(寄物陳思)
於能礼故所詈而居者ゑ馬之面高夫駄尓乗而應来哉
従来訓
3098、おのれゆゑ罵らえて居れば青馬の面高夫駄に乗りて来べしや
真の歌意
「誰だ、お前は!王座狙い代々なさんとす。潰すなかれ!」
母と高安、火花を散らす。王座狙いは代々するものらしい。
「昔、紀皇女がこっそり高安王と通じて叱られているときに、この歌が作られたのだと聞いている。高安王は伊予に左遷された。伊予国守平群氏は百済系である。新羅系の文武・持統に強い反感を持っていた。作者不詳の歌が平群氏に伝わったという形になっている。
持統は多紀の恋人高安王に怒りをぶつける。「いったいお前は何者だ!」という第一声。純韓国語である。かつて王座を狙い手に入れた文武の後を娘に継がせたいと躍起になっていた持統。前半持統、後半多紀の声と、立体的に組まれ、劇的な雰囲気を出している。