7 近江遷都

2020年12月11日 17:51

万葉集1ー17   額田王

17、額田王下近江國時作歌井戸王即和歌
味酒三輪乃山青丹吉奈良能山乃山際伊隠萬代道隈伊積流萬代尓委曲毛見管行武雄數々毛見放武八萬雄情無雲乃隠障倍之也

従来訓
額田王の近江国に下りたまへる時よみたまへる歌
17、味酒(うまさけ) 三輪の山 青丹(あをに)よし 奈良の山の  山の際(ま)ゆ い隠るまて 道の隈(くま) い積もるまてに  つばらかに 見つつ行かむを しばしばも 見放(さ)かむ山を  心なく 雲の 隠さふべしや

真の歌意
うまし酒の三輪の者よ集まれ。彌趨人よ。私を憎まないでほしい。ぽっかり空いている盆地の奈良の者は集まる。一致団結して勝つ国の者は集まる。集まって近江に行くのだ。長い列を組んで引っ越していくのだ。新しい都に全部行くのだ。これをどう止めようとするのかね。
皆の者、どうか一緒に行ってくれ。信じて一緒に行ってくれ。私への憎しみには誇張が多すぎる。無念なことだ。狛の者たち。どうだ、一緒に行きたがっているように見えないか。

 近江遷都は、661年3月19日に行われた。遷都はおおきなリスクをともなうが、天智(中大兄)は強引にやり遂げた。それが唯一の突破口だったからである。

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