森喜朗東京五輪・パラリンピック組織委員会会長が辞意を表明しました。もともと思ったことをすぐ口にしてしまうおしゃべりで、舌禍事件数知れずという方ですが、今は時代が違うという認識が全くなかったようですね。女性を侮蔑した発言によって、世界中から批判されTwitterデモも起こっています。一応謝罪会見は開きましたが、記者の質問に逆ギレし、謝罪の気持ちなどかけらもないことをさらけ出しました。
その後もろもろの外圧に耐えられなくなって、森氏は会長職を辞任しました。しかし辞任表明だけすればよかったのに、森氏は独断で後任を川淵三郎氏に依頼し、マスコミもこれを決定として伝えました。ところが日本では力を発揮する森氏の「調整力」が裏目に出てしまいます。「調整力」は英語では「バックルーム リーディング=密室の取引」という意味で、森氏は世界標準で言うと「えぐいこと、汚いことを平気でやるおやじ」だと、女性差別発言に続いて、これまた世界から批判されることになってしまったのです。故小渕恵三総理が脳梗塞で倒れた時に、密室の謀議で次の総理大臣になった森氏は、国民の支持率が8%に下落して、一年で辞職に追い込まれた過去を持つので、私たち日本人は「チッ、またかよ」と思っただけだったのですが、あれから20年、世界はそれを決して許さない方向で進化したのです。森氏のやり方が昔と変わらず、やっぱりねと沈黙する(つまり消極的だが支持する)国民の在り方も変わらない日本は、世界から隔絶されたガラパゴスであることを、またもや世界に発信してしまいました。今回の騒動はガラパゴス日本の面目躍如たる出来事だったのです。
アメリカ出身のお笑い芸人厚切りジェイソンは、「森氏の女性差別発言に笑いが起きたことなども世界では報じられ、日本は国として女性を差別する国なんだと見られている。それは森さんが辞任しても変わらない。大変な状況になっている。」と述べています。それなのにさらに、日本は「汚いおやじが牛耳っている国なんだ」という評価もされてしまったというわけです。まさに大変な状況になっているのです。
今の総理大臣菅氏も、小学生時代から「調整力」があり、それだけでのし上がってきた政治家です。まさに日本は弱者差別の自覚もない、汚いおやじ達が牛耳っている社会です。それは上から下まで変わりません。平成の30年間で日本は、国民の経済力を失っただけではなく、進化した世界の常識も身につかなかったわけです。「貧すれば鈍する」とはまさに今の日本の有り様です。日本は先進国だ、などとはもはや決して言えません。
日本はこれから変われるのでしょうか。いや、これから10年で世界が変わらなければ地球の未来はないと断言されています。たとえ、世界の先進的潮流に絶望的なまでに取り残されているとはいえ、変わらなければ日本という国は異常気象に襲われて消滅してしまうだけでしょう。もう待ったなしなのです。それを教えてくれたとすれば、ワンマン森氏の失脚劇も意味のある出来事といえるでしょう。