27 首皇子(聖武天皇)の家庭教師山上億良

2020年12月18日 20:16

万葉集8−1537    山上億良

1537、山上<臣>憶良詠秋野花<歌>二首
秋野尓咲有花乎指折可伎數者七種花 [其ニ]

従来訓
1537、秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花[其ニ]

真の歌意
奪われた野原です。その地で採れた砂鉄、その地でできた鉄器をすべて取り戻されますように。

秋の七草にことよせて、かつて「八」つまり「濊」、つまり「八百万の神々」のものであった鉄処、奪われた製鉄場や鍛冶場すべてを取り戻せと具体的に表示している歌。さすが「先生」ならではの命令である。山上億良は皇太子時代の聖武天皇の先生だった人なのである。
 万葉集8−1537、8−1538は、億良がかつての弟子聖武に送ったメッセージである。億良はいかにも秋の七草を選んだ歌に見せかけて「花ならぬ花」を詠み上げているのである。
 壬申の乱以来最大の内乱「藤原広嗣の乱」にあたり、億良は決断を下す。これを機会に全国のシマ(鉄の間)を一挙に朝廷が占めねばならぬ。鉄と共に栄華を占有してきた藤原氏やその他の鉄閥の権力を殺ぐ、またとないチャンスだ。そして聖武の鉄収集の大遠征が始まることになる。大仏開眼供養こそ、濊系のパワーを内外に示すまたとない歴史的行事だった。

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