日本最古の長編小説『源氏物語』の登場人物にはモデルがあった。主人公「光源氏」のモデルは軽皇子こと即位前の文武天皇。697年15歳で即位したとされている文武天皇は、実は681年7月日本に亡命した新羅文武大王その人である。韓半島の統一を成し遂げた名だたる英雄であったが、親唐クーデターを逆手に取り、自分は死んだことにして息子の神文王を即位させ、日本に亡命した。亡命15年後、文武は日本の第42代文武天皇として即位する。亡命当時すでに50歳を超えていたが、日本の上流社会の女性たちの間では美青年並みの人気の的であったと伝えられる。
紫式部はこの類稀な人気男を「15歳から18歳ほど」の美青年に仕立てて作品化した。「光源氏」の誕生である。光源氏は数多くの女性たちとロマンスを繰り広げる。「葵」の巻では、源氏の君の最初の妻「葵の上」と、プライドも身分も教養も高い「六条御息所」の葛藤が展開される。御息所は生霊となって葵の上に取り憑き絶命させる。物語は以降延々と源氏の女性遍歴を描いていく。このうちの「夕顔」が双子の姉元正A天皇の写し、「六条御息所」が双子の妹元明天皇の写しである。
721年(養老5)太政天皇こと元明天皇が病にかかり、笠朝臣麻呂(沙弥満誓)がその病気平癒を祈って5月に出家を願い出る。12月元明が亡くなり、翌722年2月沙弥満誓は筑紫観世音別当として九州に下向した。元正A天王は沙弥満誓が出家を願い出た5月かそれ以前に亡くなったとみなされる。一時元正Aの夫だった沙弥満誓は「万葉集3-39」の作者であり、歌の中に読み込まれた「足柄山」の山名はアシ(お姫様)、カラ(韓)、すなわち元正Aを表している。妻が高貴なお姫様であることを見抜けなかった己の不明を悔やむ歌である。数奇な運命の双子姉妹は相次いで世をさり、いよいよ首皇子=聖武天皇の時代がやってきた。