110. ヒメゴソ=シタデル=セオニョ

2024年05月25日 12:51

新羅から渡来した女神、比売許曽(ヒメゴソ)

 新羅から渡来したという女神、比売許曽(ヒメゴソ)は九州から畿内にかけて広く祀られている。ヒメゴソはシタデルと同一人物である。シタデルは鉄の親分、ヒメゴソは鉄の親方姫。上代の韓国には50余国があり、その国々には各々「蘇塗(ソトヲ)=鉄処」があった。このソトヲの頭領は渠師(ゴヲス)と称された。鉄を制するものが国を制する。
 新羅の始祖の姓は朴氏、諱は赫居世(ヒョクゴヲセ)、王号は許西干(ゴヲソヲガン)、BC5年に即位した。新羅第8代阿達羅王4年(157)、東の海辺から相次いで日本に渡った延烏郎と細烏女夫婦。日と月の精が日本に行ってしまったので、新羅は日と月の光を失った。つまり日と月は製鉄の象徴であるので製鉄技術のノウハウを失ったということになる。代わりに「細綃(セチョ)」という織物をもらい、それを祀ると日と月は以前のように光を取り戻したという。セチョは鉄づくりのノウハウを書いたものだったと思われる。延烏郎と細烏女夫婦は新羅の鉄王だった。ヒメゴソ=シタデル=セオニョ。女渠師の強力なイメージがこの3人に分散されたものであろう。2世紀半ばの時点において、日本で相当なレベルで製鉄が行われていたことをヒメゴソ、セオニョは教えてくれる。ヒメゴソ神には新羅王子天日槍の妻、下照姫、玉依姫、大己貴の娘、白玉(新羅)から生まれた女神などの説がある。
 畿内において本格的な製鉄が展開された年を「503年」と見るが、それは百済と新羅の新技術が日本の中部地方で鉢合わせしたいわゆる産業革命の年で、その遥か以前から製鉄は行われていたのだ。

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