108 神の国日本

2024年05月22日 10:08

アマテラスは新羅の鉄を日本に斡旋する者

 『日本書紀』『古事記』『風土記』にはおどろくほど多種多様な神々が目白押し、これほどの「神の国」が日本をおいて世界のどの国にあるだろうか。日本はまさに神の国、八百万の神の国なのである。群神の中でもひときわ燦然と輝く女神、天照大神の存在は何を表す者だろうか。
 「アマ=天が天孫降臨の故郷である朝鮮半島特に新羅を表していることは間違いない」(日本神話辞典・大和書房)。ではテラスは?「当て、取り付け、世話」。デラは命令形の「当てよ、取り付けよ、世話をせよ」。スは「鉄」のこと。「天照」という名前からは、「新羅の鉄を日本に世話する斡旋者としての姿」が浮かび上がる。また天照は稲作の神としての面貌を、はっきりと見せている。天照大神は伊勢神宮の内宮に祀られているが、外宮には豊受大神が祀られている。「とようけ」は「ドンヨ(たばね)ウケ(早稲)」つまり豊作の神なのだ。天照と豊受は稲作の重要性を強調するコンビである。天照は澤王でもある。澤(水)は初発の稲作や製鉄に欠かせない存在であり、この澤を支配するものが着実に上代社会を支配していたに違いない。
 島根県の奥出雲。たたら製鉄の原料である砂鉄を得る方法である鉄穴ながし(かんなながし)。山を切り崩して砂鉄をとるのだが、奥出雲では鉄穴流しの後に棚田を作った。現在でも斐伊川沿いに棚田が広がっている。世界的には鉱物を採取した後の土地は荒廃するのだが、奥出雲では棚田を作って農業を発展させた。ここから取れるコメは仁多米と言われ、「東の魚沼、西の仁多米」と言われるほど美味しいコメとして有名である。良質な砂鉄が取れる土地なので、土に含まれる栄養分にも特徴があり、寒暖の差と相まって美味しい米ができるのである。

記事一覧を見る