68 県犬養橘三千代のあだ名はナデシコ

2024年04月11日 20:25

どこにでもやたらはびこるナデシコ

 県犬養橘三千代は富豪車持氏の娘。鏡王女が藤原鎌足に嫁いだ時、車持氏の養女となって嫁入りしたので、鏡王女にとって三千代は妹分。さらに鏡王女の息子不比等(父は天武)と三千代は婚約していた。
 それなのに三千代は亡命してきた文武と関係を持ち、息子高安王を産んだ。文武の正妻石川刀自娘に高安王を育ててもらおうと思ったが断られ、結局長皇子(金庾信の次男元述)の孫として引き取られみっちり製鉄を仕込まれる。
 この高安王が、文武と持統の娘(表向きは天武と持統の末娘と言われているが)多紀皇女と恋に落ち、道鏡が生まれる。続いて文武は鎌足の娘五百重娘との間に新田部皇子をもうける。五百重娘の戸籍上の母鏡王女は烈火の如く怒る。後年三千代は不比等と再婚し、元明天皇(不比等の同母姉)に仕え、宮中に隠然たる権力を振るう。元明天皇を動かし、石川刀自娘を失脚させ、刀自娘の息子で皇太子の石川広成、その弟弘世の身分を剥奪、不比等の孫首皇子(聖武天皇)の立太子に一役買う。
 三千代のあだ名は「なでしこ」。古代韓国語の「ナデッジゴ」が語源。意味は「どこにでもやたらはびこる」。撫子の花は繁殖力が強く、いつの間にかあたり一面撫子の花に覆われてしまうことからくるいわば悪口。「おしとやか」「控えめ」からは程遠い真の意味があるのだ。

記事一覧を見る